開示しないー談合業者と職員の聴取記録

弁護士などで構成された茨城県の第三者調査委員会が、談合関与者の面談聴取を行った。 彼ら(職員・OB43人,業者20人,計63人)の陳述からは談合の新たな証拠となるような暴露はなく、遠い過去の不確かな噂話程度のものしか語られなかったと報告書は結ぶ。


その聴取は『ありのままの発言を躊躇することを防』ぎ、~『耳にしたことがあるだけのような不確実な情報をも広く収集できるように配慮』して、『公表しない』からと約束して訊いたものだと言う。

その結果として、ある年の所長は、業者の落札順番表を見せられてもそれが
落札予定者の星取表である事に気が付かなかった、という供述をすることができ、工務課長は自分の説明の仕方では(落札の順番表である事に)気が付かなかったかもしれない、と供述することが可能になった。   はっきり言って嘘八百を並べてもお構いなし、談合の実際を隠し通すことも可能になった訳である。


入札参加や受注を巡ってトラブルや争いがおこり、事務所内で(事業者が)威嚇するような大声で長時間問い詰めたり、工務課長や事務所長に精神的・肉体的に不安を与えるような事をする業者もいたと言うのに、受注順番表を見てもそれが談合の星取表である事に気が付かないと言う能天気な供述が許され、罷り通る事になった。


公取摘発の工事294件以外に、全ての陳述を繋ぎ合せ?検討?しても、談合があったと言う確認はできなかったそうだ。なのにその陳述の記録は開示できない、という。

噂話程度しか供述されていないのであれば、見せて下さいとお願いしても差し支えなかろうと思って老人は以下の異議申立をした。



     異議申立人意見書
                    平成25年11月26日
茨城県情報公開・個人情報保護審査会 殿 
 
                  異議申立人  ××  ×

平成25年10月24日付け、諮問庁意見書に対する意見

○本書面の趣旨 当局の一方的な思い込みの主張は転倒されなければならない。

①情報公開の肝は、県の所有する情報は全て公開されるべきものであって、その中にやむを得ず非公開として扱われる部分も生じる、という構造であって公開の方が大きく非公開は部分であるということが確認されなければならない。
 
②県は、
『~公表しないことを前提にしたのは、調査対象職員等が、本件事情聴取記録が公表される事をおそれ、ありのままの発言を躊躇する事を防ぐとともに、確実な情報だけではなく、(~)耳にしたことがあるだけのような不確実な情報をも広く収集できるよう配慮した事によるもの』
と諮問庁意見書で主張する。   しかし、これは実態を誤導する勝手な言い分に過ぎない。

③本件官製談合と相似形を為し、先行した国交省の水門談合での、弁護士で構成された第3者委員会の「調査報告書」でも、『公取への聴取や解答には高い信用性が認められ』相応の合理性が認められるが、『国交省職員等の説明は一貫性に欠け不自然・不合理なものであって到底採用し難い』、と断じその理由として国交省と同元職員は被害・加害とも言うべき関係にあって真実を述べにくい状況にあったものと認められる、と報告している。(資料1)
④本件官製談合においても、公取の強制調査権の下での聴取には、避け難く実態を白状したものの、副知事が指定職員とし調査を指揮し、長年県行政を支えて来た重鎮弁護士が、調査官として机の向こう側に座った本件聴取では、被聴取者たちが入札談合等関与行為防止法による損害賠償請求や訴追をおそれ率直な陳述を回避し自己保身の供述をした可能性が大きい。

⑤県の主張する『ありのままの陳述を求める為の公開しないという前提』には、即『公開されないなら嘘八百の言い逃れ・自己保身が可能』という暗喩が同時発信されることによって無責任な陳述を誘発する文脈を持ち、寧ろ『公表しない事によってできるだけ他に波及しないような虚偽の陳述を誘導』するような構造を形成していたのである。

⑥国交省報告書が、職員の一部説明を到底採用し難い、としたように、本件調査報告書でも
ア)平成12年度及び平成13年度の工務課長は「落札予定者を決定していたことはない、従ってそれを伝えるという事を行いようがなかった」と供述しているが、その時の所長の供述に加えて前後の工務課長の供述に照らして、当該工務課長の供述の信憑性には疑問が残る。(調査委報告書5ページ)
イ)平成18年度の所長は、工務課長課の説明を受けても、それが落札予定者を示している事に気がつかなかった、と供述していた。又、工務課長も、自分の説明の仕方では気が付かなかったかもしれないと供述していたことから認定から除外するものである。尚、同じ工務課長から同じような説明を受けた平成19年度の所長は、落札予定者の説明であると認識していたと供述していた。(同7ページ)
とあるように、公表されないことを逆に利用するように、常識では到底採用し難い陳述があった事を委員会自身が認識している。

⑦又、申立人の開示請求を『直接の利害関係のない一部住民の疑念』などと矮小化しているが、談合犯罪による損害は全県民の直接の利害に直結しているのであり、更には被害金額の多寡を超えて、業者と関与職員の犯行によって齎された屈辱感情解消の重要性は、県と虞犯職員の信頼関係等より遥かに重視されるべきである事が認識されなければならない。申立人は公取摘発以後他県在住者から『ああ、あの官製談合の県』という嘲りを何回も聞く事になった。本件開示請求が申立人一個の疑問に留まらず、一般県民の利害関係に深く関わっている事を県当局は再度肝銘すべきである。

⑧また『今後同様の調査を行う場合、関係者のありのままの発言を制約したり、任意の協力が得られなくなる可能性・危険性が極めて高い』、などと今後同様不正経理という名の公金横領や官製談合を継続発生する事を前提にして不開示の理由としているが、談合や横領を今後発生させなければ調査の必要性も生じないのであるから、財政規律の引き締めが必要なのであって、あるかないか未必の事態を想定しての本件不開示処分は本末転倒の『配慮』であって滑稽愚劣ではあってもそこになんら正当性はない。

⑨又『事情聴取の手法の概要が明らかになる事により、事前の回答を周到に準備される恐れがある』、などと勿体ぶっているが、語るに堕ちるとはこういう論法をいう。本件調査でも、委員会発足が平成23年8月30日、面談調査は10月4日~11月29日の約2か月間に五月雨的に為されていて
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   (資料2)クリックで拡大、
同じ境土地改良事務所の19人、同じ境工事事務所の14人、同じ県西農林事務所の10人、同じ地域支部の事業者20人たち(全て狭い屋根の下で同じ釜の飯を食って業務を行っている【いた】仲間たち)に『聴取の手法や概要』が共有され、十分な時間的余裕のうちに『事前に回答を周到に準備』する事が可能であったことは容易に推認できるところである。本件調査が『事前に周到に準備されたもの』の聴取でしかない事を自ら曝露しているのであって、そんなことが不開示の理由にならないことは自明である。

⑩寧ろ、事前に周到に準備された供述や口裏合わせをしたものが調査資料にどの程度顕現しているかが問題なのであって、ありのままの供述が為されたかどうかよりも如何に辻褄合わせが構成されているか、その痕跡が開示されるべきなのである。他方この機会に良心的不服従の立場を選んで談合の実態を吐露しようと試みた職員・OBのあった可能性も想定されるところ、仮に供述の中にその片鱗でも示されていれば本件開示によって良心的不服従の実現を支援することにもなろう。この点からも、全部公表しない、という処分は不当であり、部分的公表であっても良心的不服従の精神から官製談合の実態を告白した職員の行為を暗闇から救済する事にもなるのである。  処分庁お得意の発言者マスキングという手法があるではないか。発言者の名前は秘匿されてもその発言が談合の実態を示しているのであれば、その陳述から今後の談合防止のヒントも得られよう。

他方口裏合わせを謀って真相を歪める同調供述が互いに参照されれば、それも又半面教師として今後の官製談合根絶の一助とすることにも繋がるというものである。

⑪本件調査は、『当該調査の公正性、中立性を確保するため平成24年8月30日に5人の学識経験者からなる『~調査委員会』を設置し、上月良祐(当時)副知事を指定職員として談合関与行為に関』して行われた、とあるが委員5人が公正性中立性に照らして妥当性を保っていたかについては大いに疑問がある。
ア)委員・小泉尚義弁護士は少なくとも平成17年から継続して財団法人茨城県建設技術公社理事であり、県行政に長く伴走協力して来た方であるから調査対象職員が供述に当って何らかの予断を持った可能性を排除できない。
イ)委員・植崎明夫弁護士も又平成15年から県に常設されていた入札監視委員会の委員であり、少なくとも平成17年から継続して茨城県企業公社の理事でもあり、県収用委員会の予備委員や副会長でもあったことから職員の供述に何らかの予断・委縮があった可能性を排除できない。
ウ)委員・横田由美子弁護士も又公害審査会委員や男女共同参画事業など県行政に永く伴走してきた経歴があり、職員の陳述に類似の逡巡動揺があった可能性を排除できない。
エ)委員・佐川泰弘茨城大教授も又、県入札監視委員会委員として本件談合露見時まで恒常的に入札契約を検証して来た経歴があり、謂わばその監視経験を真っ向から汚された立場にあり、職員の陳述にバイアスがかかった可能性を排除できない。

結論
何れにしても『公表しない、という約束によってありのままの供述が得られる』はず、という思い込みは、『公表しないという約束によって省略、曖昧化、不言及など虚偽の供述を誘発し』調査全体を歪めるものに転化した可能性が払拭できないのであるから、当局の思いこみは全的に転倒されなければならず、その検証のためにも本件情報は開示されるべきである。

 最後に
本県の情報公開条例は  その(目的)として
第1条 この条例は,地方自治の理念にのっとり,行政文書の開示を請求する権利の付与等につき定めることにより,県の保有する情報の一層の公開を図り,もって県民の知る権利についての理解を深めつつ,県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに,公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする

と宣言し、県民の知る権利についての理解を深めることを謳い、県の諸活動を県民に説明する責務を掲げ、公正で民主的な行政の推進に資することを謳っている。

そこでは「茨城県と調査対象職員等との信頼を失」わない事が優先され、「県民に説明する責務」が後景に退けられるようには規定されていない。処分庁は条例第1条を拳々服膺し、その本旨を再確認するがよかろう。
                               以上
                  平成25年11月26日


資料1 国交省・水門談合に関する弁護士調査チーム報告書(部分)
資料2 本件委員による面談調査の実施状況10月分、11月分


この件は平成13年10月10日の仙台高裁の、「文書開示拒否取り消し請求控訴事件」判決があって、一審で原告側の主張を全部認容して開示が認められたものが控訴審で覆り、行政側の主張が容れられて不開示に逆転した先行例がある。

この事例は平成12年と古く、福島県の公費支出が適正であったかどうかを全354部署にわたって調査したものであって質、量とも、談合の聴聞、聴取(は63人のみ)とは趣を異にする面がある事と、詳細な各個別検討の後に判断されていることなどから、老人は十分な異議申立ての理由があると思っている。

仙台高裁判決は肝のところで

『本件公文書が開示されることになれば、公表しないことを前提に自らの不利益な事実を申告した多数の職員との信頼関係を損なうばかりか、前記ような(非難や問責を浴びる)事態の発生により、不満や不快感を抱き、このため、将来において、職員の自主的な申告を必要とする公務関係の調査が実施された場合、前記のような事態を経験した多数の職員のみならず、この事を聞知した他の職員においても・……  要するに非協力から隠蔽等が避けられない』

『・・・~法人、業者が不正に関与したと疑われたりして不満や不快の念を抱く事になったり、持たれたりして……名誉、信用社会的評価についての正当な利益を害される』

などと論を構成して行って結局『開示しないことができる』と判示している。


県側はこの判決などを金科玉条のものとして以前から掲げているようだが、冗談よし子さんだ。

法人、業者や職員が不正に関与したと疑われたりして???冗談じゃない、疑われているのではなく、談合犯罪の実行犯と共犯として聴取の場に呼ばれているのであって洗いざらい白状せよと迫られているのに、噂話程度しか陳述していないという構図だ。 不快不満の念を持つのは県民である。 


ま、公務員の世界や法曹の世界で一般の常識が通用するとは思っていないが、斯くの如くそんなものを改めて作る必要がないほどなんでも自由に秘匿できるのに、丁度、稀代の悪法『特定秘密保護法案』が衆院を通過し、参院でも可決成立されそうだ。    公務員は快哉を叫ぶかも知れないが、ボケ老人から見ると嘆かわしい限りである。



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