枠組みを見ずに細部を論う

美濃加茂市の藤井市長が収賄の疑いで逮捕起訴されて裁判が始まっている。 ネットでは弁護人に付いた郷原信郎氏が逐一論陣を張り、検察側の裏司法取引の疑いを指摘して、告発迄している。

支援の署名も有権者の半数近く集まり、市長の『金を受けとっていない、冤罪だ』と言う主張を支持しているようだ。

この事件の場合、市議時代の選挙の事も考慮に入れるべきだろう。 贈賄側がお金を渡したと言っているのは市長になる前の事だったらしいし、問題の浄水設備の導入を藤井議員が推進し、役所に働きかけた事は認めているらしいから。

市長と業者の共通の知人、友人とされている人物について郷原弁護士や、他のブログでも余り触れないように行って  言ってみれば穏便に、 ひっそりと、詳しく触れないようにソフトに紹介している.。 例えば弁護士ドットコムが初公判に触れた 記事でも  会席の同席者、と表現されている。

が、 ネットの報道によれば
≪引用開始   =前半略
応援要員の男性は中村孝道・名古屋市議(57)の秘書を務めており、政策研究所所長を名乗って藤井市長に中林社長を紹介した人物。

 捜査関係者によると、中林社長は、市長選への立候補を表明した藤井市長に対し、知人を派遣すると申し出たという。派遣されたこの男性は13年5月26日の告示日の前から約1カ月、美濃加茂市内の旅館に滞在。正規の選挙対策本部とは別に、政策をまとめた資料を作成したり応援して回ったりしていた。男性と藤井市長がやり取りしたメールの記録も残っているという。十数万円に及ぶ宿泊代は中林社長が負担していた。

 選挙で男性が派遣されていたことについて、藤井市長は逮捕前の取材に対し、「男性は『選挙を手伝いたい』と言っていた。ただ、よく知らない人だし、選対に入れるのは嫌だったので断った」と話している。

 選対関係者の間でも男性の存在を知る人はほとんどいなかった。選挙事務所に出入りする際、幹部以外は記名するようになっていたが、男性や中林社長の名前はなかったという。
≪引用終わり

宿泊代を負担してまで選挙を応援した業者と、選対にも入れなかった、政策研究所長を名乗るよく知らない人だった『共通の知人』とファミリ―レストラン・ガストや居酒屋で会うという事が既に如何わしいことだ。 選挙応援のお礼や代償として会うことにしたのか判らないが、業者が選挙時の支援を恩に着せたり、何か要請をしようとして更に資金提供するには絶好のお膳立てだ。

郷原弁護士が指摘するように、一方で業者の罪科を軽くしようと検察側から詐欺立件額縮減の裏司法取引を行って架空の贈賄証言を引き出した疑いも非常に濃いが、他方で同席者と呼ばれる者の『金を受け取ってない』証言もそのまま正しい、客観的だ、と認めるのには無理があるのではないか。 最初に藤井市長に業者を紹介したのはこの同席者だったらしいから、言ってみれば自分から怪しい人物を市長に近付けた事になる。
選挙で応援した市長なら証言にも市長擁護のバイアスがかかるのではないか。  市長と業者どちらから頼まれて同席を図ったのか、一方的に促したのか、積極的に両者を引き合わせたのかも不明だ。金の授受を見ていない、と言えば市長への強烈な援護、恩着せになるが、仮に授受を見た、と証言したら共犯、幇助になるのかどうか?もし贈収賄の幇助などになるようなら、それは見たとは言えまいし、言いにくかろうというものだ。

それにしても国県市町を通じて魑魅魍魎の世界に棲息する、議員秘書というもののあり方に何か鋭利なメスが入らないものだろうか?  小沢陸山会の場合も大きな枠としては、談合や公共工事入札への口利き、建設業界からの政治献金や闇献金という問題が横たわっているのに、結局報告書の記載漏れや、議員と秘書の間に記述について共通認識があったかどうか、に矮小化された。

今回の美濃加茂市も、金を受け取ったかどうか、という非常に狭い事柄として、裁判上の技術的争いとして語られようとしている。選挙の前後にあちこちから4億円もの融資詐欺を働くような如何わしい人間と、議員秘書を通じて議員秘書を介して親しく会食するなど、金を受け取ったかどうか以前に議員や首長の枠組みとして失格だ。  そこを意図的に隠して、同席者、共通の知人などと無害中立の関係者の様な捉え方をして『現金授受は見ていない』という言を信用しているのはおかしい。



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